平成30年1月5日、 西陣織工業組合新年総会がご来賓をはじめ280名のご参加のもと盛大に開催されました。また席上、西陣産地における永年勤続優良従業員表彰が行われ、京都府知事表彰4名、京都市長表彰2名、西工理事長表彰10名及び西陣整経組合理事長表彰1名の皆さまが表彰の栄に浴されました。
(渡邉隆夫理事長の年頭あいさつ)
新年 明けましておめでございます。
ご臨席の皆さまには、ご一家おそろいで清々しい新年を お迎えになられましたこと心よりお喜び申し上げます。旧年中は、西陣産地に対し温かいご支援をいただき厚くお礼申し上げます。
昨年は、応仁の乱の勃発から550年、「西陣」という呼称が誕生して550年目という大きな節目の年でありました。応仁の乱の新書本が異例のベストセラーとなり、また新聞各紙においても戦乱の特集記事が組まれたりしました。
当産地においても 呼称550年の記念行事を 一年を通じて多彩に展開してきました。産地の拠点として西陣織会館の大改修から始まり、そのステージを活用して新たな着物ファンづくりを行う 市民参加イベント「Shall We きものョー?」では9回の開催で 300人を超える皆さんの参加をいただきました。記念のロゴとポスターによる 西陣550年応援キャンペーンも全国に広がり、また産地を支える「縁の下の力持ち」職人さんの表彰、さらに西陣アートバスの運行、西陣のイメージのれんや回遊マップの制作など、地域の皆さんと一緒に展開する事業も 積極的に実施して来ました。
他方、西陣織会館の運営については、新規テナントの確保や スマホ決済システムの導入などが奏功し、一昨年の春から続いていたインバウンド需要の減退に 歯止めをかけることが出来、さらに昨年末にはドル、ユーロ、元など世界12か国の紙幣に対応した自動外貨両替機を設置し、来館者のさらなる利便性拡大に努めたところです。
こうしたなか昨年は、経済産業省指導のもとに 和装業界の持続的発展をめざして商慣行改善に向けての指針が策定され、私も作り手の代表として 改善策の議論に参加してきました。 西陣織工業組合は独自のモデル契約書による書面契約の完全実施、優良取引先の組合推奨制度の導入などを通じて、その実践実行の先頭に立ち、私が訴え続けている「市場振興の成果」が「産地の振興」に直接結び付くよう努める決意です。
西陣産地の 次の代に向けての本年の大課題である「商工組合から地域組合への転換」については、後継者や原材料資材の確保対策など 深刻な状況にある分業体制の再構築を第一に考え、さらに歴史文化・社寺旧跡、観光サービス産業・教育・街づくりなど西陣地域の豊かな資源と歩調をともにし、また北野・西陣の京都遺産や 京プランの地域活性化の取り組みなどと連携して 新たな西陣のブランディングを推進いたします。
本年は明治150年、東京遷都・新時代の幕開けの中で産地の近代化と飛躍発展の原動力となった先人の偉業に思いを馳せ、産地が一丸となり次代に向けての改めての基盤づくりを推進してまいります。
西陣をとりまく状況は なお厳しいものがありますが、 本年も変わりませず一層のご指導ご支援を賜りますよう よろしくお願い申し上げ、 年頭のご挨拶といたします。
平成30年 戊戌年元旦
西陣織工業組合 理事長 渡 邉 隆夫