平成30年 2月 8日
会員団体代表者各位
一般社団法人
日本絹人繊織物工業会
会長 渡 邉 隆 夫
はれのひ事件を受けて~事件から1カ月を経て
成人式の当日に事業停止し、世間を騒がせた横浜の振袖レンタル・販売業者「はれのひ」の破産手続開始が決定しました。
このような社会的影響の大きな事件が、和装業界の一端から出てしまったこと、人生一度の晴れ舞台を楽しみにしていた新成人の皆様の夢を踏みにじってしまったことはまことに遺憾で、悔しくて憤りを覚えます。
被害に遭われた方を救済支援するとの甘言による二次被害も懸念され、すでにその兆候がうかがわれます。このような事件を二度と繰り返してはなりませんし、再発防止に向けて、業界全体でモラルの確立を目指す所存です。
和装業界では、長期手形や歩引きに象徴される前近代的な取引慣行や、「高売り」、「二重価格」、「不実告知」など不適切な販売手法が一部に残っているとの指摘があり、このような問題が消費者不信やきもの離れをもたらしている一因とも考えられます。「はれのひ」事件も一経営者による特異な事件とは言い切れず、当件を招いてしまった構造・体質が業界内にあったともいえます。
昨年5月、経済産業省は和装振興に取り組むべく業界の不適切な商慣行に着目し、「和装業界の商慣行に関する指針」(17項目)を公表しました。和装の持続的発展を図るためには、川上・川中・川下の各事業者が適切に機能を発揮し、サプライチェーン全体にわたる適正な取引の確保と付加価値の向上を図るとともに、消費者本位の商品・サービスを提供し、消費者との継続的な信頼関係を構築することが不可欠であり、和装業界が自主的に実施することが望ましいとされています。
私自身この指針の策定議論に参画し、当会は同指針に全面的に賛同しており、当会に属する全国の産地組合でも順次取り組みへの賛同議決が進んでいます。
今回のはれのひ事件を受けて、当会では同指針の実践的行動を和装業界全体に強く求めていき、モラルの確立、とりわけ消費者販売におけるルールの徹底を通じて、「和装産地が憂いなくモノづくりに励み、消費者が安心してきもの生活を楽しむ」ことができる環境づくりを推進してまいります。 (西陣織工業組合理事長)