新年 明けましておめでとうございます
皆さまには清々しい新年をお迎えになられましたこととお慶びを申し上げます。旧年中は、西陣織工業組合の運営に対しまして、格別のご支援ご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
さて昨年は、新型コロナではじまりコロナが収束しないまま「3密とマスク」の新たな暮らしで終始した1年でありました。「今年こそ良い年でありますように」こんなに強く、迎える年の期待を祈願した新年は私の記憶にありません。
1月末の武漢からのチャーター便帰国にはじまり、4月には緊急事態宣言。前期からの受注残をもつ一部の事業所を除けば4月から6月の産地はかつて経験したことがないほどの受注減に見舞われ、産地崩壊すら懸念されました。
この間、組合員の多くは持続化給付金や無利子融資等で息をつなぎ、そして、京都府と京都市のきめ細かな特別助成金で再出発の準備を整え、踏みとどまることが出来たといっても過言ではありません。しかし現在でも受注は、前年に比べ5割前後という組合員が多数であります。
さらに深刻感を増している問題は、外注先である出機の織手さんを含め準備材料等の関連業種の職人さん達の仕事が激減していることです。こうした状況が続けば、長年の歴史の中で形成されてきた生産体制が壊れ、今後継続してモノづくりが出来なくなる可能性が出てまいります。
厳しいコロナ禍の大きな特徴は、いつ収まるか見当がつかない、収まっても元に戻るという保証がきわめて少ないことです。
ポストコロナ、ウイズコロナへの組合の対応として、京都府、京都市の力強いご支援のもと、川中・川下の皆さんのご理解とご協力をいただきながら産地ぐるみのオンラインストアや消費地でのBtoC販売の試みなどに精力的に取り組んでいます。また、丹後産地や京友禅産地と連携し、XR(複合現実)による産地合同の新たな和装プロモーションの取り組みも開始いたしました。
昨年10月には、西陣の機料品最大手の廃業に対し組合がその事業を承継し、織機メンテナンス体制維持への影響を最小限にとどめることが出来ました。
西陣産地をとりまく環境はきわめて厳しい状況が続いていますが、組合員はもとより関連業界をふくめ産地が一丸となって、新たな時代での持続可能な産地づくりに邁進する所存です。
本年も変わりませずご指導ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。組合員の皆さま、関連工業の皆さま、ともにがんばりましょう。
令和3年 正月元旦
西陣織工業組合 理事長 舞 鶴 一 雄